FileMakerコラム


FileMakerをバージョンアップする前に知っておきたいこと:医療機関が判断すべきセキュリティと安定性

貴院で長年活用されているFileMakerのカスタムAppは、日々の診療を支える重要なインフラとなっていることと思います。しかし、ソフトウェアである以上、定期的な「バージョンアップ」が避けて通れない課題として浮上してきます。

「今ので十分動いているのに、なぜお金をかけてまで変える必要があるのか?」

そう思われる経営者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、FileMakerのバージョンアップは、単なるソフトウェアの更新にとどまらず、貴院の患者さんの大切な情報を守り、安定した医療提供を続けるための「守りの投資」であり、同時により効率的で安全な医療を実現する「攻めの投資」でもあるのです。

このコラムでは、FileMakerのバージョンアップにおいて、医療機関の経営者の皆様が特に知っておくべき注意点と、それによって得られる大きなメリットについて、「セキュリティ」と「安定性」の側面から、分かりやすく解説していきます。

なぜFileMakerのバージョンアップが必要なのか?

まず、なぜバージョンアップが必要なのかを理解することが、適切な判断を下すための第一歩です。医療機関においては、特に以下の2つの側面が重要です。

1. 「守り」の視点:患者さんの情報を守り、医療の信頼を維持するため

医療機関が扱う情報は、患者さんの氏名、病歴、診断内容など、極めて機密性が高く、「要配慮個人情報」に分類される情報です。これらの情報が漏洩すれば、患者さんのプライバシー侵害だけでなく、貴院の社会的信用失墜、そして重大な法的責任に直結します。バージョンアップは、この最も重要なリスクから貴院を守るための必須策です。

  • 最新のセキュリティ強化: サイバー攻撃は日々巧妙化し、医療機関もその標的となっています。古いソフトウェアには、すでに知られているセキュリティ上の弱点(脆弱性)が残されている可能性が高く、不正アクセスや情報漏洩のリスクを増大させます。最新のFileMakerバージョンは、常に新しい脅威に対応するセキュリティ対策が施されており、患者さんの大切な情報を強固に保護します。
  • 法規制・ガイドラインへの対応: 厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」をはじめ、医療機関が遵守すべき情報セキュリティに関する法規制やガイドラインは厳格です。これらの基準は時代とともに更新され、古いシステムでは対応が難しくなることがあります。バージョンアップは、最新のガイドラインに準拠し、法的なリスクを回避するために不可欠です。
  • システム停止や不具合のリスク低減: 古いバージョンを使い続けると、予期せぬ不具合が発生しやすくなったり、利用しているOS(WindowsやmacOS)のバージョンアップに対応できなくなったりするリスクが高まります。これにより、システムが突然停止したり、特定の機能が使えなくなったりして、患者さんの診察や情報参照に深刻な支障をきたす可能性があります。
  • メーカーサポートの継続: ソフトウェアメーカーは、一定期間が経過すると古いバージョンのサポートを終了します。サポートが終了したバージョンでは、不具合が見つかっても修正されず、何か問題が起きてもメーカーからの技術的な支援を受けられなくなります。これは、**万が一の事態に対するリスクを放置することに他なりません。**

2. 「攻め」の視点:より質の高い、安定した医療提供を実現するため

バージョンアップは、単にリスクを回避するだけでなく、貴院の医療サービス品質向上と業務効率化にも大きく貢献します。

  • 機能の向上と新機能の活用: 新しいFileMakerのバージョンには、必ずと言っていいほど、診療効率を向上させる新機能や既存機能の改善が盛り込まれています。例えば、データ処理速度の向上、より直感的な操作画面、iPadやiPhoneでの利用体験の改善など、これらは日々の医療業務の生産性を大きく高める可能性を秘めています。
  • パフォーマンスの改善: 最新のバージョンは、最新のハードウェアやOSの性能を最大限に引き出すように設計されています。これにより、電子カルテの表示が速くなったり、検査結果の登録がスムーズになったりするなど、システムの応答速度が向上し、医療従事者のストレス軽減と患者さんへの迅速な対応に直結します。
  • 医療現場のニーズへの対応: 医療技術や診療スタイルは常に進化しています。新しいバージョンは、将来的な機能拡張や、より複雑な医療業務要件への対応を容易にし、貴院の成長と変化をシステム面から強力にサポートします。

FileMakerバージョンアップ時に経営者が考慮すべき注意点

バージョンアップはメリットが大きい一方で、計画なしに進めると予期せぬ問題に直面する可能性もあります。決済者として、以下の点に注意を払うことで、スムーズかつ安全な移行を実現できます。

1. 「今のシステムがちゃんと動くか?」という互換性の確認

最も重要なのが、現在お使いのFileMakerカスタムAppが、新しいバージョンで問題なく動作するかどうかです。

  • 大きなバージョンアップには要注意: FileMakerのバージョンが大きく飛ぶ場合(例: FileMaker Pro 16からFileMaker Pro 2023など)、内部構造の変化により、既存のカスタムAppの一部機能がそのままでは動かなくなる可能性があります。特に、複雑なスクリプト(自動処理)や計算式、独自に組み込んだ機能がある場合は、念入りな確認が必要です。
  • プラグインや外部連携ツールの対応状況: 貴院のFileMakerシステムが、外部のプラグイン(機能拡張ツール)や、検査機器、会計ソフトなどの他のシステムと連携している場合、それらが新しいFileMakerのバージョンに対応しているかを確認する必要があります。非対応の場合、連携機能が使えなくなり、業務に支障が出る可能性があります。

2. 「患者さんのデータは大丈夫か?」というデータ保全のリスク管理

バージョンアップ作業は、データの構造を変更する可能性があるため、不適切な手順を踏むと、大切な患者さんのデータが破損したり、失われたりするリスクがゼロではありません。

  • 事前の徹底したバックアップ: バージョンアップ作業を行う前には、必ず最新のデータを完全にバックアップすることが不可欠です。万が一の事態に備え、複数の場所にバックアップを保管するなどの対策が求められます。
  • 専門家による慎重な作業: 患者さんのデータ移行やサーバーの設定変更は、専門知識を要するデリケートな作業です。自院に専門の担当者がいない場合や、大規模なシステムの場合は、FileMakerの医療分野における専門知識を持つ外部のプロフェッショナルに依頼することが賢明です。これにより、データ破損のリスクを最小限に抑え、安全な移行を実現できます。

3. 「診療が止まらないか?」というダウンタイムの考慮

バージョンアップ作業中は、システムが一時的に停止したり、アクセスが制限されたりする時間(ダウンタイム)が発生します。

  • 診療への影響を最小限に: ダウンタイムを最小限に抑えるためには、作業時間を綿密に計画し、診療時間外や休日に実施するなど、業務に影響が出にくいタイミングを選ぶことが重要です。事前にスタッフや必要に応じて患者さんにも周知し、理解を得ておくことも忘れてはなりません。
  • 緊急時の対応計画: 医療機関の場合、予期せぬトラブルでシステムが停止した場合でも、診療を継続できるような緊急時の対応計画(ダウンタイム手順書など)を事前に準備しておくことが不可欠です。

4. 「どれくらい費用がかかるか?」というコストの見積もり

バージョンアップには、FileMakerの新しいライセンス費用だけでなく、既存のカスタムAppの**改修費用**、サーバーなどの**ハードウェア費用**(オンプレミスの場合)、そして専門家への依頼費用などがかかります。

  • トータルコストの把握: これらを総合的に見積もり、費用対効果を慎重に検討する必要があります。単なる「経費」ではなく、「患者さんの安全と貴院の信頼を守るための重要な投資」として捉え、長期的な視点で費用対効果を評価することが重要ですし、投資判断における根拠となります。
  • 補助金・助成金の活用検討: 医療情報システムの導入や改修に関する国の補助金や助成金が利用できる場合もありますので、情報収集を行い、活用を検討することも有効です。

FileMakerのバージョンアップは、専門家にお任せください

FileMakerのバージョンアップは、貴院のシステムを最新の状態に保ち、患者さんの大切な情報を守り、より安定した医療提供を続けるために不可欠な投資です。しかし、ご紹介したように、専門的な知識と慎重な計画が求められる作業でもあります。

私たちは、FileMakerのバージョンアップに関する豊富な経験と専門知識を持っており、貴院のFileMaker環境を安全かつスムーズに最新バージョンへ移行するサービスを提供しています。

  • 現状のヒアリングと詳細な影響調査: 現在お使いのカスタムAppの機能、プラグイン、外部連携などを詳しく調査し、バージョンアップが与える影響を正確に診断します。
  • 最適な移行計画のご提案: 貴院の診療スケジュールや業務に合わせた、ダウンタイムを最小限に抑える効率的な移行計画を立案します。
  • 安全なデータ移行とシステム改修: 患者さんの大切なデータを安全に新しいバージョンへ移行し、必要に応じて既存のカスタムAppを新バージョンに合わせて改修します。
  • 導入後の動作検証と運用サポート: 新バージョン導入後も、システムが問題なく動作するかを徹底的に検証し、安定稼働に向けた運用サポートまで一貫して対応いたします。

古いバージョンを使い続けることで発生するセキュリティリスク、システム停止リスク、そして最新機能による診療効率化の機会損失は、目に見えにくい形で貴院に大きな損害を与える可能性があります。**安全で信頼できるFileMakerのバージョンアップは、ぜひ私たちにお任せください。**

結論:FileMakerのバージョンアップは、医療機関の未来を支える不可欠な投資

FileMakerのバージョンアップは、確かにライセンス費用や開発費用、そして一時的な業務への影響など、考慮すべき点がいくつかあります。しかし、これらは全て、患者さんの大切な情報とプライバシーを守り、貴院の診療品質と業務効率を飛躍的に向上させ、将来にわたって安定した医療提供を確実にするための「攻めと守りの投資」です。

患者さんの安心と貴院の発展のために、今、正しい選択をしましょう。

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